本日、佐川町立尾川小中学校様にて実施されましたPA活動をオブザーバーとして見学させて戴きました。非常に素晴らしいプログラムだと聞きつけ、是非勉強させて欲しい、とお願いしましたところ快く許可を戴き……本当に有難いことでした。改めて尾川小中学校様にお礼を申し上げます。
さて、その見学させて戴いたPA活動は一言にすれば「図形を描く伝言ゲーム」のようなもの。ホワイトボードを挟んで向き合い、一方から他方へ、お題となっている図の特徴を声だけで伝えてホワイトボード上に再現するというものです。
伝え手は中学生と小学校高学年の生徒たち、そして書き手は小学校中学年以下の児童たち、という形でチームを組んで活動スタート。例えば、将棋盤のようなマス目の中に図形を書く問題では「左から○番目の列の、上から○番目の段に赤の丸を……」という具合です。
一見するとそれほど難しそうでもないのですが、このプログラム、子どもたちに是非身につけて欲しい能力を幾つも同時に培うことのできる、非常によく練られたものになっています。以下に列挙してみると、
① 空間思考能力
図形の位置関係を「伝える」側では意識的かつ正確に関係を把握する必要があり、
また「聞く」側では情報を元にイメージを再現する力が求められます。
② 言語化能力
「伝える」側は把握したものを聞き手に分かるよう言語化することが重要になり、
また「聞く」側は伝え手の言葉を忠実に図形化する力が必要です。
③ コミュニケーション能力
単に言語化するだけではなく、伝え手は「自分の言葉が相手にどのように受け止められるか」
を考えることが求められます。聞き手も「伝え手の意図を汲み取る」努力をしなければ
なりません。
④ プログラミング的思考
更に上手く伝えようと思うと、伝え方に一定のルールを持たせ(活動内では「法則性」という
言葉がヒントになっていました)、また手順を意識して伝えることが聞き手の分かり易さに
繋がります。この「手順化」は「プログラミング的思考」のコアになる要素の一つです。
このように「ちょっと欲張りかな」というほどの要素が自然に統合されているのです。
お互いに情報のギャップがあることを前提に相手に伝えるという作業は普段の授業とは少し勝手の違うものでしょう。意外と上手く伝わったり、逆にズレが生じてしまったり……皆さん、このギャップを楽しみながら非常に良い雰囲気で活動されていました。
また印象的だったのは、伝えることが上手な生徒さんがいる一方で、聞くことが上手な生徒さんも活躍していたこと。「相手が何を伝えたいのか」を慮る力が培われている、素晴らしいことです。
尾川小中学校様では、異なる年齢・学年の児童・生徒さん方が時間をともにすることが日常。そのために年齢差がある中でもコミュニケーションが非常にスムーズで、今回のPA活動もそうした日々の上に成り立つものだと見学させて戴く中で強く感じました。
振り返ってみれば、学校の特色を活かしながら体験活動を通じて学びを得る……その一つのモデルを肌で感じる、素晴らしい体験をさせて戴きました。これからの活動に活かしていきたいと思います。